浅く鍼を打つのと深く鍼を打つのはどちらが効果的かを比較した試験が行われました。
・対象者
鍼灸大学附属病院の整形外科の6ヶ月以上の慢性的な首肩の痛み(首こり、肩こり)に悩む患者さん20人
・試験の内容
年齢、男女比、首肩こりの期間、痛みの強さ、日常生活の障害の程度等を同等にして同意を得て、臨床経験7年の鍼灸師が浅めの鍼治療(10名)か深めの鍼治療(10名)のどちらか知らせないまま週に1回4週間行い、その後4週間鍼治療せず評価しました。
・評価方法
痛みの強さ、首肩の痛みによる日常生活における障害の程度
・鍼治療の内容
浅めの鍼治療(10名)
男性2名、女性8名、平均年齢約67歳 深さ5mmで20秒鍼を動かし、その後20分間鍼を置く。
深めの鍼治療(10名)
男性3名、女性7名、平均年齢約69歳 深さ15mm~20mmで20秒鍼を動かし、その後20分間、鍼を置く。
初回の鍼治療前後のスコアを比較し、直後の効果を評価すると両方のグループで改善が見られましたが、グループ間の差はわずかでした。
鍼治療による期間の経過(2週以降)、鍼治療完了後の⼀定期間の効果の持続に関しては深めの鍼治療のグループで有意に良好な結果が見られました。
継続して鍼治療を行うのであれば、浅めの鍼治療よりも深めの鍼治療の方が効果的であることが示唆されました。
比較対象として浅めの鍼治療、深めの鍼治療、何も治療しない、の3グループに分けれたら期間の経過による症状の改善の比較もできたのですが、同意を得るのが難しかったかと思われます。
参考文献
M nakazima et al. Difference in Clinical Effect between Deep and Superficia Acupuncture Needle Insertion for Neck-shoulder Pain: a Randomized Controlled Clinical Trial Pilot Study
J Jpn Soc Balneol Climatol Phys Med (2015) 78 (3)